この記事は KMC Advent Calendar 2021 - Adventar の 25 日目の記事です。
好きな本の宣伝と文脈導入を同時に行う
そういえば、この本はかなり好き。1880年代にはタイプライターというものがまだ新しく、多様な方式のものがあったが、1900年頃になるとだいぶその種類が減ってきた。https://t.co/41QXAMKS5b
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年2月21日
このことにより、「それぞれの字に対応するキー」以外の仕組みで文字を入力することを人類は思いつかなくなり、「中国語のためのキーが5000個あって横5メートルあるタイプライター」というのが新聞のネタ枠に載るようになった。 pic.twitter.com/3AF6aB7F5N
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年2月21日
この巨大な空想上の機械という風刺画は、中国語という言語が「技術的に非効率的」であるという一見中立的な主張をしているように見えるが、実のところはかつて活気に満ちて多様だった想像力がレミントンに滅ぼされた様を表現する風刺画になっている、という非常に示唆的な書き出しで第一章が始まる。
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年2月21日
さらに、レミントン式タイプライターが覇権を取ったことにより「それぞれの字に対応する40個強キーとシフトキー」以外の方式がなくなり、大文字小文字キーが分かれていた英語タイプライター(1枚目)を流用したタイ語タイプライター(2枚目)が生産できなくなり、無理矢理シフト式に押し込む必要が出た pic.twitter.com/gN888Vstcp
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当時レミントンと競合していたUnderwood社のタイプライターの発明者 Cousin は、94種の文字を42個のキーで打つのは大変なのでもう少し文字を削らないと「ヨーロッパの現代語」のようにタイ語を入力できるようにならない、という言葉を残している。
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「Cousinは、タイ語がUnderwoodに対応できないことを問題視したのであり、Underwoodがタイ語に対応できないことを問題視したのではなかった」と、この本は痛烈に批判する。
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こういう批判の目を持つのって大事ですよね。
本題
さて、この本を書いた Thomas Mullaney という人はスタンフォードの先生で、私はマウンテンビューのコンピュータ歴史博物館に行ったときに「この本面白そう」と買ったという経緯があります。
時は流れ、3ヶ月後。高仲芹という人が発明した中国語用のタイプライター『電華打字機』についての記事をその先生が出していたのを見掛けました。
この本の著者がn時間前に記事を出しとるな。「0~5, 0~9, 0~9, 0~9 の四桁で漢字を入れるタイプライターのデモンストレーションをやった人に会えて話を聞けた」とのことであるhttps://t.co/CiYBiCL7Qi
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年5月18日
この人70年経っても未だにこの文字コード覚えてたらしい。すごい。
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1秒に1回転する直径18cm、長さ28cmの円筒に5400文字が刻印されていて、0-3-1-4 を押すと「我」が打てるらしい pic.twitter.com/4J9UQBC12V
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年5月18日
さて「この文字コード表ってどっかにあるのかな」と調べてみたところ、スタンフォードの図書館にはあることを確認。9月からアメリカに戻って授業を受けるので、せっかくだからこれを借りて再現実装つくりたい!という気持ちになりました。
ということで、9月に渡米し、
@_lem0n_ この文字コード表をゲットしました https://t.co/PLsjBcXjmN
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年9月22日
その後、少しずつ入力していきました。日本語で使わない漢字がかなり多く、入力には苦労することもありましたが、 zi.tools というサイトのおかげでなんとか終わらせることができました。
これ、部品から漢字を出すのに非常に便利なので最近お世話になってる。https://t.co/6cWhB1X64w 字統网 https://t.co/ESRnuN0D18
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年11月9日
@yi_bai_cn 非常に助かっております。ありがとうございます
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年11月21日
ご愛用いただきありがとうございます https://t.co/iTbzG5tn3c
— Yi Bai (@yi_bai_cn) 2021年11月21日
なお、この経験を活かして、2021年11月4日のKMC例会講座で「漢字入力テクニック」という発表をさせていただきました。
そうして本日2021年12月25日、ついに!
これの文字コード表を全て(0000~5389まで)入力!いや~大変だった。 https://t.co/PLsjBcGgkN
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年12月25日
文字コードを入れきったので、あとは実装を再現するだけです。ゆくゆくは写真から頑張って 3D モデルを作る予定ですが、とりあえず動くものが欲しかったので、機能を再現することを目標に、当時の録画を注視。
左上0、左下1、右上6、右下2。0162は「文」、0612は「追」で、かつ最終的に打たれた文に「英文」「中文」とかは出てきてるけど「追」は多分出てきてないので、左上 → 左下 → 右上 → 右下の順序で確定と見てよさそうだな pic.twitter.com/Vpu1AzpD2W
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年12月25日
0?78 が見えるけどこれ 0478「是」でしょ。この順序で正しそうだな。あとはボタンが解除されるタイミングさえ分かればなんとかなるんだが、よくわかんないなぁ pic.twitter.com/ZZGG9aBlTs
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年12月25日
まあ、完全な再現である必要はないのよな。
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年12月25日
・100の位が押されると、押されたやつが固定され、それ以外の100と10が解除
・10の位が押されると、押されたやつが固定され、それ以外の10と1が解除
・1の位が押されると、押されたやつが固定され、字が打たれる
という仕様にでもするか?(んー同字反復)
とりあえずテキトーにエミュレータを作りました♪https://t.co/skH3wcMW8N pic.twitter.com/PcWfxQIDYU
— jekto.vatimeliju@hsjoihs@.sozysozbot. (@sosoBOTpi) 2021年12月25日
ということで、できました ♪